macOSの新ファイルシステム「APFSフォーマット」のメリット・デメリット
macOS 10.13 High Sierraから導入された新しいファイルシステムの「APFSフォーマット」についてですが、今ひとつどんなものなのか、使ったほうがいいのか悪いのかがよくわらからなかったので、調べたり実験した結果をまとめておきます。
結論から言えば、内蔵SSDは「APFSフォーマット」を使い、それ以外のUSB外付けHDDなどは従来からの「HPFS+フォーマット」を使えばよいのですが、ケース・バイ・ケースに判断する場合の材料にしてもらえればと思います。
1. 従来からのHFS+と比較したAPFSのメリット
まず、APFSは従来からのHFS+と比較して、以下の表のようなメリットがあります。
使っている技術用語は厳密には間違っているものもあるかもしれませんが、一般ユーザーがイメージしやすい言葉で表しています。
No | 内容 | HFS+ | APFS | メリットを簡単に言うと |
1-a | ファイルコピーの動作 | シングルスレッド | マルチスレッド | ファイルコピーが速い |
1-b | パーティションの空き容量管理 | 固定 | 可変 | パーティションサイズが自由に使える |
1-c | ファイル管理 | 32ビット | 64ビット | より多くのファイル数が扱える |
1-d | ファイル上書き方式 | 単純に上書き | 新規作成して、古いデータは削除 | ファイルが壊れにくい |
1-a. ファイルコピーの動作
「マルチスレッド」とは「マルチタスク」に似た言葉ですが、従来のHFS+ではファイルコピーは1つづつ順番に処理されていました。
APFSではマスチスレッド化されたため複数のファイルが同時にコピーされるので、そのぶん作業時間が短縮されます。
1-b. パーティションの空き容量管理
APFSで、最も操作方法や見た目で変わったのはここではないでしょうか。
以下に、APFSでフォーマットされたUSB外付けHDDの中に、パーティションを2つ作成した時の「ディスクユーティリティ」の画面をあげています。
従来のHFS+では、物理HDDの中にパーティションを複数作る時は、パーティションを作る時にサイズを決めておく必要がありました。
しかし、APFSでは物理HDDの直下には必ず「コンテナ」というものが作られて、その中にパーティションを作ることになります。
そうなると、パーティションのサイズはパーティションを作る時に決める必要はなく、「コンテナ」のサイズを超えない限り最大のサイズが使えるようになります。
複数のパーティションを作るときにしかメリットは感じられないのですが、今までにはないAPFSでは「コンテナ」の中に「パーティション」が作られる、ということを知っておくのは、今後HDDのフォーマットなどをする時の操作の理解の助けになると思います。
1-c. ファイル管理
これは、ファイル管理が64ビットになることにより、今までも多くのファイルが保存できるメリットにつながります。
大容量のHDDで、サイズの小さいファイルを多数保存している場合に、ファイルが保存できなくなったという経験がある人もいるかもしれません。
1-d. ファイル上書き方式
従来のHFS+ではファイルの上書きをする時は素直にそのまま上書きを行っていました。
しかし、APFSでは上書きの場合でもいったん新規にファイルを作成して保存完了してから以前のファイルを削除するという動作に変わりました。
これでどんなメリットがあるかというと、従来のHFS+では何らかのトラブルでファイルの上書きが正常にできなかった時に、ファイルが壊れた状態で保存されていたのが回避されるようになりました。
HFS+ではSSDやHDDの故障、macOSの破損などにより、Macの動作が不安定な時には動画や画像などのサイズが大きいファイルの保存するときに、頻繁ではありませんがファイルの破損はまれに発生していました。
2. APFSのデメリット
2-a. HFS+からAPFSに変換はできるが、逆はできない
従来のHFS+でフォーマットされたHDD/SSDをAPFSに変換は可能ですが、逆はできません。
変換する時はその他のデメリットも考えて慎重に判断しましょう。
2-b. アプリによっては不具合が出る場合がある
これは実際に私が経験したことですが、3Dグラフィック編集ソフトの「Unity」を使っていた時に、データ保存先のフォルダやファイルの絶対番地に日本語が含まれている場合は、データの保存ができませんでした。(具体的にはsceneデータの保存)
Unityの保存エラーについては現在はパッチ対応されていますが、その他のソフトでも不具合が起きている可能性があるので、「絶対に止まっては困るMac(仕事用など)」にAPFS、ひいてはmacOS 10.13 High Sierraをインストールするのは慎重にしたほうが良いでしょう。
2-c. macOS 10.12 Sierra以前のMacではデータの読み書きができない
これは文字通りの意味ですが、たとえば職場や学校などで複数人で使うUSB外付けHDD/SSDについては、使用するmacOSのバージョンを確認しておく必要があります。
2-d. TimeMachine用のHDDは、従来からのHFS+しか対応していない
Mac標準のバックアップシステム、TimeMachineのバックアップ先として接続する外付けHDD/SSDは、従来通りのHFS+が必須です。
2-e. トラブルが起きた時のデータ復旧方法のノウハウが不足している
従来からのHFS+は20年ほどの歴史があるので、データ復旧業者にはHFS+のデータ復旧のノウハウが蓄積されています。
しかし、APFSはまだ出たばかりのファイルシステムなので、HFS+のノウハウが全く使えないとうことはありませんが、まだまだノウハウ不足です。
3. 外付けHDD/SSDで、APFSを使うとメリットを受けられるのは、こんなユーザー?
前項の「1-b. パーティションの空き容量管理」を参照すると、HDDに複数のパーティションを作る人には、あらかじめパーティションのサイズを決めるという制限から開放されるのでメリットがあります。
また、「1-d. ファイルの上書き方式」からは、動画や画像などサイズの大きなファイルを日常的に編集・保存している人には、ファイル破損がしにくくなるという意味でメリットがあります。
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