LinkStationのためのUPS(無停電電源装置)選びについて
落雷による停電や瞬断が多い夏場を安心して過ごすために、LinkStationやTeraStationなどにUPS(無停電電源装置)を使うことを推奨します。
特に、職場でLinkStationなどを使っている場合には、必須の周辺装置と言えます。
なぜなら、LinkStationやTeraStationは、NAS(ネットワーク型HDD)という普通のパソコンよりは壊れにくいシステムやHDD構成をしているとはいえ、いったん壊れた場合は、かえってパソコンよりもデータ復旧の難易度が高く、重要なデータを一元化して保存しているために、ダメージもパソコンとは比較にならないからです。
この記事では、LinkStationの全機種について、どういうUPSの接続方法がオススメか、さらにオススメのUPSの機種を紹介していきます。
1. UPS導入によるメリット
停電など電源が止まった時に、ある程度の時間、接続機器を稼働できる。
停電時の稼働時間は、接続機器の消費電力とUPS内蔵のバッテリ容量によりますが、LinkStationやTeraStationなどの小型のサーバであれば、30分~1時間は稼働できます。
接続する機器によっては、自動的にシャットダウンさせることができる。
自動シャットダウンに対応したLinkStationなどのNASとUPSを使えば、バッテリ運転の状態になったらNASを安全にシャットダウンさせることができます。
2. UPS導入にあたっての注意事項
NAS側のUSB端子の数によって、UPSの機能制限がある
これは具体的に言うと、NAS側にUSB端子が1つしかない場合は、UPSを含めて外付けHDDなどと排他利用になるということです。
仮に、USB端子が1つしかないNASに、UPSと外付けHDDを使う場合は、USB端子には外付けHDDを接続し、UPSは電源供給元として使い、自動シャットダウンとして連携させない、ということです。
UPS内蔵のバッテリは消耗品
バッテリは消耗品なので、定期的に交換が必要です。
およそ3年をメドに交換してください。
最近のUPSは、ユーザーが自分でバッテリ交換できるようになっているものが多いです。
交換して不要となったバッテリは、産業廃棄物としてUPSのメーカーに処分を依頼できる場合が多いです。
バッテリ稼働できるか定期的にテストが必要
前項のバッテリとも関係ありますが、半年に1回ぐらい、ちゃんとバッテリ稼働できるかテストをしてください。
肝心の停電の時にUPSのバッテリが消耗しているとかUPSが壊れていたらUPSを入れている意味がありません。
停電などでバッテリ稼働に切り替わったら、電源を確保するか、NASを速やかにシャットダウンさせる
「バッテリ稼働できているから安心」と高をくくってはいけません。
想定外の事態が起きてNASが壊れる事態をなくすために、電源を確保できないようであれば、いったんNASをシャットダウンさせましょう。
また、バッテリ稼働している間はUPSが「ピーピー」電子音を鳴らすのでうるさいです。
3. オススメのUPSの紹介
LinkStationの機種ごとに、
- そもそも自動シャットダウンできるUPSに対応してない
- 自動シャットダウンできても、対応しているUPSのメーカーや型番が違う
とさまざまです。
自動シャットダウンに対応したUPSで、値段が手頃で、当社が導入した実績からオススメできるUPSは次の2つです。
くれぐれも、LinkStationの機種によって使えるUPSが違うので、注意してください。
オススメUPSその1・・・APC社のES 550 (BE550G-JP)
後述の3B-01型の「LS-GLシリーズ」で、自動シャットダウンに対応したオススメのUPSです。
(LS-GLシリーズ;LS-1000GL、LS-750GL、LS-500GL、LS-400GL、LS-320GL、LS-300GL、LS-250GL、LS-160GL)
以下で紹介している製品は、現在販売終了となっています。
オススメUPSその2・・・オムロン社のBX35F
後述の3B-01型の「LS-GLシリーズ」以外のLinkStationで、自動シャットダウンに対応したものは、すべてこのUPSに対応しています。
また、自動シャットダウンに対応したUPSがないLinkStationでも、将来的にLinkStationを買い換えた時でも対応機種が多いことから、このUPSを推薦します。
4. LinkStation全機種ごとのUPS接続プランの説明
LinkStation全機種を、内蔵しているHDDの種類・台数を基準に6パターンに分類しました。
- 3A型・・・3.5インチIDE型HDD内蔵のLinkStation(1ドライブ) LinkStation初期から2005年ぐらいまで
- 3B型・・・3.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(1ドライブ) 2005年ぐらいから現在まで
- 3C型・・・3.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(2ドライブ) HDDが2台搭載されたもの
- 3D型・・・3.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(4ドライブ) HDDが4台搭載されたもの
- 2A型・・・2.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(1ドライブ) 手のひらサイズ
- 2B型・・・2.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(2ドライブ) 手のひらサイズでHDD2台搭載
6パターンの分類がわかりにくいかもしれませんが、全機種の型番を後述の一覧表に載せていますので、それも参考にしてください。
3A型・・・3.5インチIDE型HDD内蔵のLinkStation(1ドライブ)
これらの型番のLinkStationは、自動シャットダウンに対応したUPSはありません。
よって、自動シャットダウン機能については考えないでUPSを選んでもかまわないのですが、どうせなら将来的にも使える機種が幅広い、「オムロン社のBX35F」の導入を推薦します。
対象型番一覧
「各機種の具体的なUPS接続プラン」は、一覧表の後に記載していますので、そちらを御覧ください。
No | シリーズ名 | 発売年 | 型番 | オススメUPS | 自動シャットダウン | USBポート数 |
---|---|---|---|---|---|---|
3A-01 | HD-LAN | 2003年 |
| オムロン社BX35F | NG | 1 |
3A-02 | HD-HLAN | 2004年 |
| 2 | ||
3A-03 | HD-HGLAN | 2003年 |
| |||
3A-04 | HS-DGL | 2005年 |
|
各機種の具体的なUPS接続プラン
3A-01・3A-02・3A-03・3A-04のすべて
LinkStationとUPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能は使えません。
ただし、UPSをつないだ場合に、自動シャットダウンはできないものの、停電や瞬断の時にバッテリ稼働させるという、UPS本来の使い方は問題ありません。
余談ですが、これらのLinkStationは発売から10年前後経っていて、今は問題が無いように見えても内部的にはかなりヘタってきているので、買い替えを検討した方がいいです。
3B型・・・3.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(1ドライブ)
これらのLinkStationは機種によって対応UPSが異なっていてわかりにくいのですが、一蘭の一番上にある3B-01型の「LS-GLシリーズ」だけは「APC社のES 550」を導入して、それ以外のLinkStationは「オムロン社のBX35F」を導入するのがオススメです。
対象型番一覧
「各機種の具体的なUPS接続プラン」は、一覧表の後に記載していますので、そちらを御覧ください。
No | シリーズ名 | 発売年 | 型番 | オススメUPS | 自動シャットダウン | USBポート数 |
---|---|---|---|---|---|---|
3B-01 | LS-GL | 2006年 |
| APC社のES 550 (BE550G-JP) | 可能 | 2 |
3B-02 | HS-DHGL | 2006年 |
| オムロン社のBX35F | NG | |
3B-03 | LS-HGL | 2008年 |
| 可能 | 1 | |
3B-04 | LS-LGL | 2007年 |
| NG | ||
3B-05 | LS-CL | 2008年 |
| 可能 | ||
3B-06 | LS-CHL | 2009年 |
| |||
3B-07 | LS-XHL | 2008年 |
| |||
3B-08 | LS-VL | 2011年 |
| |||
3B-09 | LS-AVL | 2011年 |
| NG | なし | |
3B-10 | LS-XL | 2011年 |
| |||
3B-11 | LS410D | 2013年 |
| 可能 | 1 |
各機種の具体的なUPS接続プラン
3B-01
USBポートが2つあり、UPS自動シャットダウンにも対応しているので、外付けHDDをつないだまま、UPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能が使えます。
3B-02・3B-04
USBポートが1つまたは2つあるのですが、UPS自動シャットダウンに対応していないので、LinkStationとUPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能は使えません。
ただし、UPSをつないだ場合に、自動シャットダウンはできないものの、停電や瞬断の時にバッテリ稼働させるという、UPS本来の使い方は問題ありません。
3B-03・3B-05・3B-06・3B-07・3B-08・3B-11
USBポートが1つしかありませんが、UPS自動シャットダウンに対応しているので、外付けHDDをつなぐ場合は、LinkStationとUPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能は使えません。
USBポートに外付けHDDをつながないで、UPSをつないだ場合は、自動シャットダウンさせることができます。
3B-09・3B-10
USBポートがない上に、UPS自動シャットダウンに対応していないので、LinkStationとUPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能は使えません。
ただし、UPSをつないだ場合に、自動シャットダウンはできないものの、停電や瞬断の時にバッテリ稼働させるという、UPS本来の使い方は問題ありません。
3C型・・・3.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(2ドライブ)
HDDを2台内蔵していて、RAID0かRAID1の構成ができるタイプです。
対象型番一覧
「各機種の具体的なUPS接続プラン」は、一覧表の後に記載していますので、そちらを御覧ください。
No | シリーズ名 | 発売年 | 型番 | オススメUPS | 自動シャットダウン | USBポート数 |
---|---|---|---|---|---|---|
3C-01 | LS-WTGL | 2007年 |
| オムロン社のBX35F | 可能 | 1 |
3C-02 | LS-WHGL/R1 | 2008年 |
| 2 | ||
3C-03 | LS-WXL | 2011年 |
| 1 | ||
3C-04 | LS-WVL | 2011年 |
|
各機種の具体的なUPS接続プラン
3C-02
USBポートが2つあり、UPS自動シャットダウンにも対応しているので、外付けHDDをつないだまま、UPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能が使えます。
3C-01・3C-03・3C-04
USBポートが1つしかありませんが、UPS自動シャットダウンに対応しているので、外付けHDDをつなぐ場合は、LinkStationとUPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能は使えません。
USBポートに外付けHDDをつながないで、UPSをつないだ場合は、自動シャットダウンさせることができます。
3D型・・・3.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(4ドライブ)
HDDを4台内蔵していて、RAID0/1/5/10の構成ができるタイプです。
対象型番一覧
USBポートが2つあり、UPS自動シャットダウンにも対応しているので、外付けHDDをつないだまま、UPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能が使えます。
No | シリーズ名 | 発売年 | 型番 | オススメUPS | 自動シャットダウン | USBポート数 |
---|---|---|---|---|---|---|
3D-01 | LS-QVL | 2010年 |
| オムロン社のBX35F | 可能 | 2 |
2A型・・・2.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(1ドライブ)
2.5インチHDDを使用しているので、手のひらに乗るポータブル型のLinkStationです。
対象型番一覧
USBポートが1つしかありませんが、UPS自動シャットダウンに対応しているので、外付けHDDをつなぐ場合は、LinkStationとUPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能は使えません。
USBポートに外付けHDDをつながないで、UPSをつないだ場合は、自動シャットダウンさせることができます。
No | シリーズ名 | 発売年 | 型番 | オススメUPS | 自動シャットダウン | USBポート数 |
---|---|---|---|---|---|---|
2A-01 | LS-SL | 2009年 |
| オムロン社のBX35F | 可能 | 1 |
2B型・・・2.5インチSATA型HDD内蔵のLinkStation(2ドライブ)
手のひらサイズのポータブル型LinkStationですが、HDDを2台内蔵していて、RAID0かRAID1の構成ができるタイプです。
対象型番一覧
USBポートが1つしかありませんが、UPS自動シャットダウンに対応しているので、外付けHDDをつなぐ場合は、LinkStationとUPSを連動させて、停電時に自動シャットダウン、の機能は使えません。
USBポートに外付けHDDをつながないで、UPSをつないだ場合は、自動シャットダウンさせることができます。
No | シリーズ名 | 発売年 | 型番 | オススメUPS | 自動シャットダウン | USBポート数 |
---|---|---|---|---|---|---|
2B-01 | LS-WSGL/R1 | 2008年 |
| オムロン社のBX35F | 可能 | 1 |
2B-02 | LS-WSXL | 2009年 |
|
5. まとめ
将来LinkStationを買い換える場合は、次の3つの観点から選ぶことをオススメします。
- ミラーリング(RAID1またはRAID10)でデータの二重化をリアルタイムで行う
- 外付けのHDDまたは別のLinkStationなどで定期バックアップを取る
- UPS自動シャットダウンの機能が使える
1と2はデータを二重三重に取ることによって、データ消失の危険性を激減できます。
3は停電や瞬電などのデータ消失やNAS本体の故障を防ぎます。
以上3つの観点から、現在オススメできるのはLinkStationの法人向けバージョンとも言える、TeraStationの次の機種です。
LinkStationではなくTeraStationを推薦しているのは、エラー表示が液晶パネルにメッセージで出るのでわかりやすい、HDDの交換を簡単にできる、空冷が考慮されている、といった点からです。
なお、この記事で紹介した、オムロンのUPS、BX35Fの自動シャットダウンにも対応しています。
このページの記事は以上です。
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復旧料金は復旧データ納品後に後払い
復旧失敗時は復旧料金0円、ただし宅急便の往復送料実費のみご負担
作業日数は2-3日(症状により延長の場合あり)
・HDD:33,000円
・NAS:55,000円
(RAID対応の場合は22,000円追加)
(当社ではHDDの内部分解が必要な重度の物理障害には対応していません。ただし、重度でも対応可能な提携他社を紹介することができますので、重度の場合でもご連絡ください。)